・PEAKSの撮影を終えて

私がなぜ山へ向かうかというと、
そこにしかない景色をカメラで撮りたい その一心です。
特別な景色が必ずそこにあると分かっていながら、カメラを家に置いていく勇気がないと言った方が正しいかもしれません。
PEAKSのモデルとしてお誘いいただき、チームの皆さんにご迷惑おかけすることなく最後まで歩き通すと心に決めた時、普段必ず持ち歩く一眼レフカメラを軽量化の為置いていくことにしました。
今まで写真にとらわれていた私が、真の目的であるカメラを置いて山に行く、そんな日が来ることを本当は望んでいたのかもしれません。
山が好きという気持ちが、写真が好きという気持ちを超える日がいつか来るのかな…と。
当日、カメラのない身軽さは、こんなにも足取り軽く軽快に歩みを進められるということにまず驚きました。
普段なら被写体を探しながら歩くのが癖ですが、今回はとても危険なルート、一歩一歩の足場に全神経を集中させ、安全第一でゴールへ向かうことができました。
カメラのない山行は、いつもとは違う景色を見せてくれるだろうと期待していたこともあり、予想以上の新たな発見の連続に、山を歩く実感溢れる至福の時となりました。
そして、雑誌に書いていただいていた使い捨てカメラ☆
普段、仕事や作品撮りではなく、思い出写真を撮る時はフィルムなのですが、たまたまカメラ屋さんで目にとまった写ルンですを記録用に持っていきました。この写真たちはその時のものです。
私の大好きな映画のひとつに『LIFE』がありますが、
その中でとても印象に残っているシーンが…
【主役のウォルターはヒマラヤの雪山で写真家ショーンと出会うのですが、ショーンはとても珍しい雪ひょうという動物の撮影に来ていました。ところが実際に雪ひょうが現れたとき、ショーンはただ見つめるだけでカメラのシャッターを切りません。
「どうして写さないの?」と訊ねるウォルターに対して、ショーンは「本当に大切な瞬間ならカメラに邪魔されたくない。その一瞬を大切に味わう。今を楽しむ。」と答えるのです。】
とても共感できて、真似できない言葉。
そこにいること、目撃すること、ともにいること、感じていることの方が遥かに大切なのに、どうしてもカメラのファインダー越しに見てしまう。
今回の山行は、ショーンの言葉に近づくきっかけを与えられた気がして、嬉しいと思っているのです。